建設業の元請け会社が下請け会社に損害保険の加入を求める理由

下請け損害保険

建設業の元請け会社が下請け会社に損害保険の加入を求める理由

①元請け会社の責任を軽減するため

建設工事現場において、作業員や第三者が死傷したり、財産が損害を受けたりした場合、元請け会社は民法上の請負責任に基づき、その被害者に対して損害賠償責任を負うことになります。

下請け会社が事故を起こした場合であっても、元請け会社は連帯責任を負うため、下請け会社に損害保険に加入させておくことで、万が一の事故が発生した場合の損害賠償金支払いの負担を下請け会社に払ってもらうことにより、元請け会社は保険金の支払いを軽減することができます。

②下請け会社の安全意識を高めるため

下請け会社が損害保険に加入することで、保険料を支払うことになります。そのため、保険金請求のリスクを意識し、安全対策を徹底することで、事故の発生を未然に防ごうとするようになります。近年、事業向け損害保険は保険請求があると保険料のアップとなることも考えられるため、下請け会社は更なる意識が高まることが期待できます。

また、元請け会社から損害保険加入を義務付けられることで、下請け会社は安全対策の重要性を再認識し、安全管理体制の強化を図ることも期待できます。

③工事の円滑な進捗を確保するため

建設工事現場において事故が発生した場合、現場作業が中断し、工期遅延や損害賠償金の支払いなどの問題が発生する可能性があります。

下請け会社に損害保険に加入させておくことで、事故発生時のリスクを軽減し、工事の円滑な進捗を確保することができます。

その他の理由

上記以外にも、元請け会社が下請け会社に損害保険の加入を求める理由は、以下の点が挙げられます。

  • 下請け会社に対する監督責任を果たすため
  • 契約条件を有利にするため
  • 業界の慣習によるもの

まとめ

下請け損害保険

建設業の元請け会社が下請け会社に損害保険の加入を求める理由は、主に元請け会社の責任を軽減するため、下請け会社の安全意識を高めるため、工事の円滑な進捗を確保するためです。

近年では、安全対策の重要性が高まっていることから、元請け会社が下請け会社に対して損害保険加入を義務付けるケースが増えています。

特に建設業の場合、元請会社から仕事を請け負う際に、工事保険に入って欲しいと言われることが多々あります。元請がいうこの工事保険ですが、恐らく工事中に事故があった時に現場が止まらないように、他に迷惑が掛からないように、「工事中の保険に入って欲しいという総称を言っているのだと思われます。

つまり、工事中の事故にはどのようなリスクが考えられて、必要な損害保険は自社(下請)で考えて、それぞれ必要な保険を加入してくださいという事なのだと思います。

元請が工事期間中に下請に求めるのはその工事期間に保険加入があれば良いのですが、その工事期間はもちろんしっかりとした保険に加入をしてもらいたいでしょうし、それが工事期間中の短期間の保険でも問題はないわけです。ここで建設業の皆様が必要な損害保険を教えます。

元請け会社が加入を求める損害保険3選

元請け会社が下請け会社に保険加入を求めるときの商品はほとんど次の3つです。

  1. 賠償責任保険
  2. 労災上乗せ保険
  3. 建設工事保険

建設現場で使用する自動車保険、通勤などで使用している自動車保険は言うまでもありません。

  保険の種類 保険の特長 事故の例
賠償責任保険 賠償責任保険は仕事中の事故で第三者等(対人、対物)に損害を与えてしまった特に事故相手である被害者に補償する損害保険です。 工事現場の前の道路を中学生が通行中、貴社が仕事中に誤って落とした鉄板が中学生に直撃。大怪我となった。
労災上乗せ保険 労災上乗せ保険は仕事中の従業員、役員の怪我や業務上疾病などを補償する損害保険です。 仕事中に従業員が大怪我。長期治療となり、政府労災保険の補償だけでは足りなくなってしまった。
建設工事保険 建設工事保険は貴社の建設工事中に建築物等が火災、風災、盗難、破損など物に対しての補償になります。 明日、引渡予定であった建築中の建築物が火災となり、もう一度はじめから建築する事となった。

元請会社が工事保険の加入を下請に求めるのは、建設工事には様々な損害リスクがあるからなのです。何かあったら元請が何とかしてくれるという考え方は捨て、基本的に自社で起こした事故の責任は自社で取るものであり、貴社の損害保険の加入は仕事を請け負う上で、元請に対するマナーでもあります。

大きな建設工事で事故を起こしてしまうと元請けから信用は落ちてしまう恐れはありますが、損害保険の加入により解決できたとなれば落ちかけた信用も取り戻せるものではないでしょうか?

建設業の皆様には損害保険に加入をすることで自社を守ることにもなります。建設業は損害保険そもそもが必要な職業になりますが、損害保険の加入は元請けから信用を得られるということもありますが、被害者を守る、従業員を守る上でもとても大切な保険なのです。直接請け負う仕事が多い事業者様は特に

ですので、自社に合ったしっかりとした損害保険に加入されてください。