2024年9月のピックアップ

消防設備保守・点検・工事に必要な損害保険 大阪府Y様
今月のご相談事例などを紹介します。
大阪府の消防設備保守・点検・工事のお仕事をされている法人のY様。
消防設備保守・点検の特有の事故である点検・工事中のガス消火設備での誤操作でのガス放出事故や、防火シャッター点検での物品破損、工事引渡後の消火栓・スプリンクラー・連結送水管点検での水漏れ事故。その他、自動火災報知設備での施設内の物品の破損などの賠償事故リスクをはじめに心配されておりました。
それらの事故に伴い業務災害につながる事故の恐れから、大きな損害リスクの可能性があるとの事でお問い合わせをいただきました。
弊社からは消防設備保守・点検・工事業向けに数パターンのお見積りを何度かご案内しながら法人Y様のご意見を伺いつつ補償内容と特約を調整し、ご契約をいただきました。お選びいただいた種目は損害賠償リスクに備えて統合賠償責任保険ビジサポ、従業員や協力会社のおケガのリスクに備えて労災あんしん保険のご契約となりました。
消防設備保守・点検・工事業の賠償責任事故や労災事故にはどのような種類がある?
消防設備の保守・点検・工事は、建物内の安全確保に不可欠な業務です。古い消防設備や点検が困難な場所に設置されている消防設備の点検の際に事故が発生しやすく、メンテナンスでの作業や消火設備の取り扱いなど、危険が伴う作業も多く、賠償責任事故や労災事故が発生するリスクも高いです。
賠償責任事故について
消防設備の保守・点検・工事中に、第三者に怪我をさせたり、建物や設備を損傷させたりした場合、その損害を賠償しなければならない事故を賠償責任事故といいます。
- 落下物による事故→点検中に工具や部品が落下し、下階にいる人に怪我をさせる。
- 水漏れによる事故→プリンクラーの点検中に誤って配管を損傷させ、水が漏れて建物に損害を与える。
- 火災による事故→溶接作業中の火の不始末により、火災が発生し、建物に大きな損害を与える。
- 感電事故→電気設備の点検中に感電し、第三者に怪我をさせる。
- 施工ミスによる事故→消防設備の設置ミスにより、火災発生時に機能せず、建物や人に大きな被害を与える。
労災事故について
消防設備の保守・点検・工事業における労災事故とは、業務中に労働者が負傷したり、死亡したりした場合に、労働基準法に基づいて労災保険から補償を受けることができる事故のことです。
- 転落・墜落事故→高所での作業中に足場から転落したり、梯子から落ちたりする。
- 挟まれ事故→機械に手足が挟まれたり、作業中に物が挟まって怪我を負う。
- 感電事故→電気設備の点検中に感電する。
- 熱傷→溶接作業中や火を使用する作業中に火傷を負う。
- 中毒→有害なガスを吸い込んで体調を崩す。
消防設備の保守・点検・事業に必要な損害保険とは?

消防設備の保守・点検・工事業においては様々な損害リスクが伴うため、万が一の事故に備えて適切な損害保険への加入が強く推奨されます。
必要な損害保険※は次の通りです。
- 賠償責任保険
- 労災上乗せ保険※(従業員、協力会社(下請)がいる場合)
- 所得補償保険(個人事業主または小規模経営者の場合)
※社有車、事務所、会社特有の資産である機械の動産等の損害保険は除いています。
ベテランのプロ代理店が損害保険と特約の重要性を教えます!

消防設備の保守・点検・工事業に必要な損害保険を紹介しましたが、事業者(保険の契約者)が注意しなければならないのは、特約の重要性を検討しておくことです。せっかく損害保険に加入をしていただいても、その特約を付けていなかったので、「対象外事故で全額、事業者の負担」と最悪の事態にならないようにしておきたいところです。
例えば賠償責任保険において
- 工事中に工事の目的物である自社が取付ける消防設備自体に損害を与えた場合は保険は対象となる?
- 消防設備点検完了後にメンテナンスの操作方法が悪くて消防設備自体と消防設備以外にも損害を与えた場合に、両方の損害について保険は対象となる?
1と2の事故は保険で対象になるのかどうか?事業者様にはすぐに回答が分からないと存じます。
損害保険には様々なリスクに応じた特約がありますが、一般の人には難しい名称、理解しにくい内容が多岐にわたります。そこで何の特約を付保するべきなのか?しないべきなのか?の線引きで悩まれる事業者様が多いのですが、判断のポイントとしては次の2つです。
- 少しでも特約の損害リスクがあるなら付帯する
- 特約がよくわからないなら、自分で判断せず専門家の代理店さんと相談
このようにすると良いでしょう。尚、弊社がお客様へ良くあるアドバイスのケースとしては、お客様が特約の付帯を迷ったら、付けておくようにおすすめしています。何故かと言えば特約をつけておくことによって、事故が起きた際にあの時、付けておいてよかったとなるからです。
続いて、それぞれ損害保険のおすすめ特約をご紹介します。
消防設備の保守・点検・工事業の損害保険
基本補償と特約

おすすめの賠償責任保険の特約3選
賠償責任補償の特約 | 1 | 2 | 3 |
---|---|---|---|
施設・業務賠償責任 | 対物超過復旧費補償特約 | 財物損壊を伴わない使用不能損害補償特約 | 被害者治療費等補償特約 |
生産物賠償責任 | 生産物・仕事の目的物自体損壊補償特約 | 対物超過復旧費補償特約 | 財物損壊を伴わない使用不能損害補償特約 |
特に「対物超過復旧費補償特約」は全ての小規模事業者・個人事業主の皆さまにおすすめします。理由として良くあるこんなケース。
メンテナンスの為に業務遂行中、操作方法を誤ってお客様の消防設備を壊して全損にしまった。ところが、その消防設備は16年以上経過しているもので、原価償却率から時価額は10%程度しかない。新しく購入(原状復帰)するには100万円掛かるが、賠償責任は時価額の10万円となるので保険からは10万円しか払われないと保険会社に言われてしまい差額の90万円をどうするのか困ってしまった。お客様の物を壊してしまった時に、原状復帰するには100万円するものを現在価値の10万円で勘弁してくださいとは言いづらいかと存じます。
大手企業であれば、差額の90万円は必要経費で処理してお支払いできても、小規模事業者・個人事業主の皆さまは大きな痛手となることが考えられます。対物超過復旧費補償特約はそんなときに役に立つ可能性があります。
この他に、クレーム等対応費用特約、サイバー情報漏えい事故補償特約等がございます。
おすすめの労災上乗せ保険の特約3選
消防設備の保守・点検・工事業の従業員や協力会社(下請)の皆さまへの労災上乗せの補償について、特約の付帯と選択は非常に大切です。よって、専門家であるプロの代理店に、ある程度おまかせのプランニングをしてもらうと良いでしょう。
弊社がおすすめする労災上乗せ補償の特約は次の通りです。
労災上乗せ補償の特約 | 1 | 2 | 3 |
---|---|---|---|
賠償責任補償・費用補償 | 使用者賠償責任補償特約 | 雇用関連賠償責任補償特約 | 法律相談費用 |
怪我・業務上疾病の補償 | 入院・手術補償 | 休業補償特約 | 医療費用補償 |
労災事故で事業者が注意しなければならないのが、従業員と協力会社(下請け)の皆さまへの安全配慮です。万が一、お仕事中に後遺障害認定されるほどのお怪我を負った場合には損害賠償請求を受けることがありますので、賠償責任補償に関する特約は労災上乗せ保険にはマストです。
この他に、所得補償特約、天災危険補償、入院一時金特約などがございます。
おすすめの所得補償保険の特約3選
所得補償保険は、個人事業主にはおすすめですが、政府労災などの他にも社会保障の充実している会社の従業員はその限りではありません。所得補償保険は社会保障の手薄い個人事業主向けになりますが、第三分野の医療保障や共済保障など他の補償等で重複していても多少、多く掛けておくのはむしろおすすめです。しかしながら、補償の掛けすぎにはムダが生じる可能性があり注意が必要となりますので、その事業者にとって、どの程度が適正になるのか?専門家であるプロの代理店に、ご相談されると良いでしょう。
弊社がおすすめする所得補償保険の特約は次の通りです。
所得補償の特約など | 補償期間(てん補期間) | 補償対象範囲 | 傷害による死亡・ 後遺障害補償 |
---|---|---|---|
おすすめの補償内容 | 3か月または1年 | 入通院・自宅療養 | 1000万円以上 |
この記事のまとめ

いかがでしたでしょうか?消防設備の保守・点検・工事業に必要な損害保険※には上記のように3種類(法人は2種類)あると紹介しました。その3種類(法人は2種類)の中にある特約には多くの種類があります。
※社有車、事務所、会社特有の資産である機械の動産等の損害保険は除く。
特に賠償責任保険には、多くの特約が存在しますので事業者はこれらの特約を把握しておく必要があるのですが、全ての特約が必要という事ではなく、特約の必要度合いは事業者それぞれの状況や規模によって変わります。
中小企業でも、大企業の近い規模と豊富な資金があり、一部、保険金で足りなくても自社でなんとか補償できるので良いと言ったお考えであれば基本補償を中心としたシンプルな内容で良いのですが、一度の事故で大きなダメージとなる中小企業や個人事業主には、しっかりとした特約付保をセットされておくのがよいでしょう。
尚、気になる保険料は、売上高、補償内容やオプション、補償金額、補償範囲、事業者のご年齢などによって異なります。具体的な商品や料金について気になった事業者さまは、弊社に直接相談されることをおすすめします。
損害保険のご相談について
今回、ご紹介をしました消防設備の保守・点検・工事業のお客さまだけでなく、今月も多くの事業者さまからのお問い合わせをいただきました。個人事業主、または会社をはじめて間もない事業者さまや、損害保険に加入をしているけど今一度、見直しをお考えられている事業者さまは、今回の事例をご参考にされてみてください。
また、損害保険について気になる商品がございましたら下記リンクからお問い合わせください。プロ代理店が貴社さまのお悩みを解決します!